実際、C大学でもコリアン・アメリカンやチャイニーズ・アメリカンの学生は、留学生と合わせるとかなりの数に見えたし、コンピュータセンターでトラブルの相談に乗ってくれる理数系の学生など、ほとんどアジア人の顔をしていた。 また、数年前のロスアンゼルスでの人種暴動のときは、黒人たちのターゲットはいつの間にか白人警官の暴力から、韓国人の経営するデリに向けられていたのを思い出す。
アジア系は一種の「脅威である」というムードが高まってきていたのである。 前年の大統領選挙では、民主党への「アジア系財閥」からの献金が、C政権のさまざまな献金疑惑の中で特にクローズアップされた。
この問題はAAJAのミーティングでも議論され、アジア系への「差別」を深刻に考えるきっかけとなった。 Nテレビのレポーターとして人気のある中国系の男性は、AAJAとしての運動の先頭に立ち、「アジア系だからといって、合衆国市民としての平等な政治参加の権利をうしろめたく思わねばならない状況には、断固抗議しなければならない」と雄弁に訴えていた。
会員たちからは、アジア系は名前でわかるので、政治団体から敬遠されるようになった、などという声も寄せられた。 フランスやスウェーデンの会社との関連、ユダヤ資本などには何も言わないのに、アジアとの関連のみを指摘するのはおかしいという意見もたくさん出た。
AAJAの全国大会では、テーマ自体もぎることながら、K・Cの司会というのがどういうものなのかという興味もあった。 私の印象では、彼女はさすがに存在感があって、議論をグイグイとリードしていくパワーがあった。
発言者の矛盾を許さず、問題になりそうなところは追及の手をゆるめずにどこまでも突っ込んだ。 さながら、獲物に食いついて骨までしゃぶり尽くす百獣の王のようであった。
ちなみに、パネリストは有名新聞の白人編集委員、デスクといった人々であった。 しかし、他に質問者が多数マイクの前にならんでいても、彼女はお構いなしに自分の問題意識、自分のペースで進行を続けた。

私は職業柄、そうして発言者を待たせておくのは(結局1人しか質問できず、あとの人々は諦めて席に戻った)見るに忍びなかった。 彼女の相手に切り込む能力は傑出しており、インタビュアーとしての実力は素晴しいと思ったが、「モデレーター」(調整役)という役割からは逸脱していた。

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